最近、用事で小学校や中学校に訪れることが多いのですが、筆者の住んでいる地域の学校では、チャイムが鳴らない学校(ノーチャイム制学校)が多いようです。
今の子どもたちは、あの「キーンコーンカーンコーン」の音を聞かずに学校生活を過ごしているのかと思うと何とも不思議な感じがします。
そこで今回は『学校のチャイム』について紹介していきます。
学校のチャイムの歴史
日本の学校のチャイムの歴史は、近代的な学校制度が始まった明治時代まで遡ります。
当時は、時間になると鐘を鳴らしながら、校内を歩いて回る用務員さんが学校内に在籍していたようです。
昭和の戦争の時期などには、授業の開始や終了を知らせるチャイムの音に、空襲を知らせるベルの音を使用していた期間もありました。
しかし、その空襲用のベルに不快感を感じていた人も多かったので、現在の20〜50代くらいの多くの世代の人に馴染みのある、あの「キーンコーンカーンコーン」のチャイム音が採用されていったようです。
ちなみに「キーンコーンカーンコーン」のチャイム音の由来は、イギリスのラジオ放送で流れていた「ウエストミンスターの鐘」を採用したものであると言われています。
ちなみに、文部科学省でチャイム音に関する指定は内容で、他のチャイム音を採用している学校もあったようです。
しかし、2010年代半ばあたりから、ノーチャイム制を採用する学校が増加していき、チャイムの音を聞いたことがない子どもたちが増えていっています。
ノーチャイム制学校とは
「ノーチャイム」とは、授業の開始・終了時間を知らせるチャイムを鳴らさずに、学校生活を過ごしていくという取り組みです。
子どもたちや教員は、教室にある時計などを見て次の授業への準備などの行動を行います。自分たちで時間を気にして行動することで、時間を管理する能力を身につけようという試みです。
ノーチャイムのメリット・デメリット
では、ノーチャイム制のメリットとデメリットはどういったものがあるのでしょうか。
メリット
ノーチャイム制のメリットとして特によく挙げられるのは
- 子どもたちが時間を気にして自主的に行動できるようになる
- 学校の周囲からチャイムの音がうるさいとクレームが来なくなる
というものです。
1つ目の「子どもたちが時間を気にして自主的に行動できるようになる」というのは、将来社会に出た時に、自分で時間の管理ができる能力を身につけるために、小学校、中学校のうちからトレーニングしておこうという狙いのものです。
採用された当初は、生徒、教師ともに、時間に遅れてしまうことがあったようです。
現在では、筆者が訪れた多くの学校でも、しっかりと時間通りに授業が開始されている場合が多く(さすがに小学校の低学年では難しそうな場合もあったが)、子どもたちはしっかり時間を見て行動ができているようでした。
2つ目の「学校の周囲からチャイムの音がうるさいとクレームが来なくなる」というのは、周囲が住宅街やマンションがであった場合、周囲の住民の人たちから「チャイムの音がうるさい」というクレームが来ることがあったようです。
しかし、ノーチャイム制を採用してからはそういったクレームが来ることはもちろんなくなったそうです。
デメリット
ノーチャイム制のデメリットとして言われるのは「時間を気にせずに没頭できる機会を失う」というものです。
常に時間を気にして行動しなければならないので、何かに没頭して取り組みにくい環境になってしまっているのではないかという指摘もあります。
例えば、休み時間に読書をするために、図書室に行って、本を読み始めた場合、時間を小まめに気にしなくてはならないので、なかなか本の世界に没入することができません。
これでは、本を読むという経験を十分に楽しむことは出来ませんし、読書が好きになるということは難しくなってしまうでしょう。
チャイムがあれば、集中して本を読んでいても、音が時間を知らせてくれるので、集中して本を読むことが可能になります。
このように、ノーチャイムで時間を気にして行動するということに対する弊害も少なからずあるということも認識していた方がいいでしょう。
ノーチャイム制が正しいか間違っているかは分かりませんが、どんなことにもメリット・デメリットがあるということを知っていれば、いい面をより享受できるようになるのではないかと思います。
あのチャイムの音が学校から消えていくのは、少し寂しい気もしますね。
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