目次
マイムマイムの意味と踊り方を完全ガイド!イスラエルの「水」の歓喜を体全体で表現しよう
1. マイムマイムの心臓部:「水」が意味する「歓喜」の背景
学校の運動会やキャンプファイヤーなどで、誰もが一度は踊ったことがあるかもしれない「マイムマイム」。このエネルギッシュなダンスが、実は非常に切実な「喜び」を表現している事実をご存知でしょうか。このセクションでは、マイムマイムという言葉の本当の意味と、その踊りが生まれた文化的背景を深く掘り下げていきます。
1-1. 結論:「マイムマイム」はヘブライ語で「水」を意味します
まず結論から申し上げますと、私たちが「マイムマイム」と呼んでいるこの言葉は、ヘブライ語で「水」を明確に意味しています。多くの人がメロディーと共に口ずさんでいる、あの「マイム」という響きは、日本語の「水」にあたる単語なのです。
なぜ「水」が、これほど有名なダンスのタイトルになったのでしょうか。それは、このダンスが「水」というテーマそのものを表現するために創られたからです。単なるBGMのタイトルではなく、踊り全体の存在意義が「水」の一文字に集約されています。
実際に、歌詞の中心部では「マイム、マイム、マイム、マイム」と、日本語に訳せば「水、水、水、水」と何度も連呼されます。これは、水を心の底から切望し、ついに水を得た喜びを爆発させている歓喜の声そのものです。
したがって、私たちがマイムマイムを踊る体験は、この「水」というテーマを全身で表現する行為そのものになります。
1-2. マイムマイム発祥の地:イスラエルの厳しい自然と「キブツ」の生活
このダンスが「水」というテーマを強く打ち出している背景には、発祥の地イスラエルにおける「水源発見の喜び」という、非常に切実でドラマチックな状況が存在します。
マイムマイムは、西アジアの地中海に臨む共和国、イスラエルで生まれました。この地域は、私たちが日本で生活している感覚からは想像しにくいほど、水が貴重な不毛の地、すなわち砂漠地帯が広がっています。
当時、故国イスラエルに帰ったユダヤ人の開拓農民たちは、「キブツ」と呼ばれる集団農場を組織していました。彼らは砂漠を緑豊かな農地へと変えるため、北東部の淡水湖である「ガリラヤ湖」から農地へ清水を引く用水溝を建設するなど、水を得るために文字通り命がけの努力を続けていたのです。
この状況下で、苦労の末に「水源を発見する」という出来事が、どれほどの「歓喜」であったか、想像に難くありません。
そして、この「キブツ」という集団農場の存在が、マイムマイムの振り付けに深く関わっています。水源発見の喜びは、一個人が成し遂げたものではなく、「コミュニティ全体」の努力による勝利でした。だからこそ、マイムマイムは全員が「シングル・サークル(一つの輪)」になり、「連手(手をつなぐ)」して踊る形式が採用されているのです。輪になって踊る動作は、集団で成し遂げた喜びを全員で分かち合う姿を象徴しています。
つまりマイムマイムは、厳しい自然環境で生きる人々が、命そのものである水源を発見した歓喜を、共同体全体で祝うために生まれたダンスなのです。
1-3. 踊る上での最重要ポイント:「明るく、きびきびと」踊る理由
マイムマイムを踊る上で最も大切な心構えは、振り付けのテクニック以前に、その感情の表現にあります。専門的な指導資料においても、「明るく、きびきびと」「水源発見の歓喜を表現すること」が大切であると、強く明記されています。
なぜ、そのように感情の表現が重視されるのでしょうか。それは、1-2で解説した通り、このダンスの本質が「水源を発見した喜び」そのものだからです。もし、喜びの感情を表現しないで踊るのであれば、マイムマイムの核心を欠いた踊りになってしまいます。
キャンプファイヤーなどで、恥ずかしがったり、あるいは単なる運動として何となくステップを踏んだりする姿を見かける場合があります。しかし、もし自分が砂漠の真ん中で何日も水を探し続け、ついに井戸を掘り当てた瞬間を想像してみてください。「やったぞ!」という、体中を駆け巡る爆発的な喜びが湧き上がるはずです。そのポジティブなエネルギーこそが、このダンスの原動力となります。
したがって、マイムマイムを正しく踊るための第一歩は、この「歓喜」の感情を心に満たし、それをエネルギーに変えてステップを踏む積極的な姿勢にあります。
2. マイムマイムの歌詞と歌い方:「救いの井戸から水を汲め!」
マイムマイムを踊る際、私たちは何を歌っているのでしょうか。ここでは、歌詞の具体的な意味と、踊りの中で声を出すべき正しいタイミングについて解説します。
2-1. 【歌詞一覧】マイムマイムのヘブライ語と日本語の大意
マイムマイムで歌われている歌詞には、単なる「水だ!」という表面的な叫び以上の、非常に深い文化的背景が込められています。
この歌詞が重要である理由は、その一節にあります。「ウ シャブ テーム マーイム ベッ サ ソン ミー マー イエ ネー ハー イエ シュー アー」という部分は、日本語の大意では「喜びをもって水を汲め 救いの井戸から」と訳されます。
ここで「救いの井戸」という言葉が使われている点に注目すべきです。これは、この歌詞が旧約聖書(イザヤ書12章3節)の一節に由来しているためです。この背景を知ることで、開拓民にとっての水が、単なる生活用水ではなく、彼らの命をつなぐ「救い」そのものであったという、切実なニュアンスが深く理解できます。
私たちが歌っていた歌詞の全容を、ヘブライ語(カタカナ表記)と日本語の大意の対応表で確認しましょう 1。
| ヘブライ語(カタカナ表記) | 大意(日本語訳) |
| ウ シャブ テーム マーイム ベッ サ ソン
ミー マー イエ ネー ハー イエ シュー アー |
喜びをもって水を汲め
救いの井戸から |
| マイム マイム マイム マイム
ウ マ イム ベッ サ ソン |
水、水、水、水、
うれしやな! |
| ヘイ ヘイ ヘイ ヘイ | (掛け声) |
| マイム マイム マイム マイム
マイム マイム ベッ サ ソン |
水、水、水、水、
水、水、うれしやな! |
このように、マイムマイムの歌詞は「命の賛歌」とも呼べる深い意味を内包しています。私たちは知らず知らずのうちに「救いの井戸から、喜びと共に水を汲もう」と高らかに歌っていたのです。
2-2. マイムマイムを歌う・叫ぶタイミングはここです!
マイムマイムの歌詞を「歌う」タイミングと、掛け声を「叫ぶ」タイミングは、踊りのパートと連動して明確に指定されています。
この指示を守ることは、踊りの動作と内面的な感情を一体化させるために非常に重要です。正しいタイミングで声を出すと、ダンスの持つ本来のエネルギーと高揚感を最大限に引き出す結果につながります。
声を出すタイミングは、具体的に以下の2箇所です。後ほど3章で解説する振り付けのパート番号と対応しています。
したがって、このダンスを心から楽しむためには、恥ずかしがらずに声を出し、歌と掛け声を明確に使い分ける積極的な参加が求められます。
3. 【完全ガイド】マイムマイムの踊り方:4つのパートを徹底分解
ここからは、マイムマイムの具体的な踊り方を、4つのパートに分けて徹底的に解説します。カウント(呼間)ごとの詳細な動きと、指導上のポイントを明らかにしていきます。
3-1. 踊る前の準備:マイムマイムの基本隊形と音楽
振り付けを学ぶ前に、マイムマイムを踊るための基本設定を押さえる必要があります。このダンスは「シングル・サークル」で踊られ、音楽は「4/4拍子」で構成されています。
この基本隊形と音楽のリズムを理解していないと、ステップのタイミングや移動方向を間違えてしまう原因となります。
踊り始める前に、以下の情報を確認し、正しいスタートポジションについてください。
この「全員が円内を向き、低く手をつなぐ」という隊形こそが、マイムマイムの基本姿勢です。
3-2. 振り付け [I]:チェーケシア・ステップで横移動(16呼間)
前奏の8呼間が終わると、いよいよ踊りが始まります。最初の16呼間(カウント)は、「チェーケシア・ステップ」と呼ばれるステップを4回行い、円の進行方向とは逆(逆LOD:Line of Direction)へ横に進みます。
このステップは、マイムマイムの基本となる横移動の動作です。後ほど4-1で詳しく解説しますが、よく似た「グレープバイン・ステップ」と混同しないよう、正確な足の運びを覚える必要があります 1。
1回のチェーケシア・ステップは4呼間(4カウント)で構成されます。この4カウントの動きを、合計4回繰り返します(4呼間 × 4セット = 16呼間)。
この【1】(前クロス)→【2】(サイド)→【3】(後ろクロス)→【4】(リープ)という一連の動作を4セット行い、16呼間を使って横(逆LOD)へ移動するのが、パートIの全てです。
3-3. 振り付け [II]:円の中心へ前進と後退(16呼間)
次の16呼間は、円の中心に向かって「前進・後退」する動きを2回繰り返します。ここは、2-2で解説した通り「マイム、マイム」と全員で歌う、最も象徴的なパートです。
この動きは、このダンスの背景にある「水源(井戸)へ駆け寄る喜び」を最も直接的に表現する振り付けです。そのため、単に歩くだけでなく、手の動きや上体の使い方が細かく指定されています。
この16呼間は、8呼間の「前進・後退」を2セット行います。
この一連の動作は、単なる振り付けではありません。「1歩目で上体をかがめる」のは渇望した「井戸」を覗き込む動作を、「4歩目で手を頭上へ上げる」のはついに水を発見して「万歳!」と喜ぶ動作を、それぞれ表現しています。
したがって、このパートIIは、水を見つけた喜びのドラマを演じるように、感情を込めて踊ることが求められます。
3-4. 振り付け [III]:掛け声と共にランニング(4呼間)
パートIIの「万歳」の動作が終わったら、続く4呼間(カウント)は、短いランニング・ステップで次の動作に移ります。
この非常に短い4呼間は、次のパートIVのホップ動作(飛び跳ねる動き)に向けた、エネルギーを高める「助走」の役割を果たします。
4呼間の動きは以下の通りです。
そして、この【1〜4】の動作の間、2-2で解説した通り「ヘイ、ヘイ、ヘイ、ヘイ」と全員で掛け声をかけます 1。この4呼間は、歌(パートII)からホップ(パートIV)への重要な橋渡しとして、掛け声と共に素早く実行する必要があります。
3-5. 振り付け [IV]:ホップと拍手(16呼間)
いよいよ最後の16呼間です。ここでは、その場でホップ(片足ジャンプ)しながら、もう片方の足でトー・ポイント(つま先タッチ)を繰り返します。このパートは、前半8呼間と後半8呼間で手の動作が劇的に変わる、ダンスのクライマックス部分です。
この動きは、溢れるほどの歓喜を、その場で飛び跳ねて表現するパートです。特に後半の拍手は、喜びの感情を音として爆発させる重要な要素となります。
16呼間を、8呼間ずつの2つのセクションに分けて解説します。
この16呼間(パートIV)が終わったら、踊りは終了ではありません。再びパートI(チェーケシア・ステップ)の【1】に戻ります。曲が終わるまで(通常6回)、このIからIVまでの52呼間の流れを繰り返すのが、マイムマイムの全容です。
4. マイムマイムを上手に踊るための「2つの専門的コツ」
マイムマイムの振り付けを一通り学びましたが、ここでは指導資料に「留意点」として記載されている、より上手に、そして「正しく」踊るための専門的なコツを2つ紹介します。
4-1. コツ1:マイムマイムの「チェーケシア」と「グレープバイン」は違います
パートIの横移動を美しく見せるための専門的なコツがあります。それは、使用する「チェーケシア・ステップ」が、よく似た「グレープバイン・ステップ」とは決定的に異なる点を意識する、というものです。
なぜ、この2つを厳密に区別する必要があるのでしょうか。それは、この違いを意識しないと、マイムマイムの持つ「コミュニティの一体感」という本質が損なわれてしまうからです。
2つのステップの技術的な違いと、それがもたらす踊りのニュアンスの違いを、以下の比較表で説明します。
| ステップ名 | 技術的な特徴 | 踊りのニュアンス(なぜ重要か) |
| チェーケシア (正しい) | ・上体(体)は前に向けたまま行う。
・【4】のリープでアクセントがつく。 |
・全員が常に円の中心(=井戸)を向いている。
・お互いの顔を見ながら踊れ、「共同体」の一体感が保たれる。 |
| グレープバイン (誤り) | ・足を交差すると同時に上体もややひねる。 | ・上体が横や進行方向を向いてしまう。
・円の中心から視線が外れ、一体感が途切れがちになる。 |
この「上体を前に向け続ける」というチェーケシア・ステップの指示は、単なる技術論ではありません。これは、1-2で解説した「キブツ(共同体)」のダンスとして、非常に社会的な意味を持ちます。横に移動する時も、常に円の中心(=井戸)と仲間たちに意識を向け続ける姿勢が求められるのです。
したがって、マイムマイムを踊る時は、パートIで横に移動する際も、必ずおへそと顔は円の中心(前)に向け続けるように強く意識してください。
4-2. コツ2:パートIIのアクセントは「きわめて軽く」行います
2つ目のコツは、パートII(前進・後退)の1歩目のアクセントの強さに関するものです。指導資料では、このアクセントは「きわめて軽いアクセントであり、スタンプではない」と、特に強調されています。
マイムマイムは「歓喜」のダンスですが、それは決して「乱暴」なものではありません。1-3で述べた通り「きびきび」とした、統率の取れた喜びの表現が求められます。
「スタンプ(Stomp)」は、足を地面に強く踏み鳴らし、「ドン!」と音を立てるような動作を指します。もし全員がスタンプしてしまうと、踊り全体の軽快さが失われてしまいます。「軽いアクセント」とは、体重を乗せつつも、「ランニング・ステップ」の軽やかな流れを止めない、「トン」とリズムを取る程度のものです。
喜びを表現しつつも、決して「踏み鳴らす」のではなく、前進するための「軽快な推進力」として、このアクセントを活用してください。
5. まとめ:マイムマイムで「歓喜」を分かち合おう
本記事の分析を総括します。マイムマイムは、単に「水」という単語を繰り返すダンスではありません。それは、イスラエルの開拓者たちが、砂漠地帯で「命の水(救いの井戸)」を発見した瞬間の「歓喜」を、共同体全員で分かち合うために生まれた、物語性の強いフォークダンスです 1。
なぜなら、本記事で解説してきたように、その文化的背景は歌詞の意味(「救いの井戸から」)や、振り付けの一つひとつに色濃く反映されているからです。
例えば、「井戸に駆け寄り万歳する(パートII)」動作、「共同体の一体感を保つために上体を前に向け続ける(パートI)」ステップ 1、「喜びを爆発させる拍手(パートIV)」など、すべてが「歓喜」という一つのテーマに結びついています。
次にマイムマイムを踊る機会があれば、ぜひ「ウ・シャブ・テム・マーイム(喜びをもって水を汲め!)」という歌詞の本当の意味を思い浮かべてみてください。
正しいステップと、このダンスが求める「歓喜」の心を込めて踊れば、あなたのマイムマイムは、単なるレクリエーションや運動を超えた、素晴らしい文化的体験となるはずです。
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