平安美人の世界へようこそ
現代とは全く異なる、平安時代の美の基準。それは、長い黒髪、白い肌、ふっくらとした顔立ち。このインタラクティブガイドで、奥深い平安の美意識とその背景を紐解いていきましょう。
平安と現代、美の基準を比べる
平安時代の理想と現代の美の基準は、驚くほど異なります。下のレーダーチャートは、その違いを視覚的に表したものです。各項目にカーソルを合わせると、詳細な説明が表示されます。
なぜ?独特な美意識が生まれた背景
平安時代の美意識は、当時の社会や生活様式と深く結びついていました。ここでは、その背景にある3つの主要な理由を探ります。これらの要素が、なぜ現代とは異なる美しさを理想としたのかを解き明かします。
身分の象徴
白い肌やふくよかな体型は、労働の必要がない高貴な身分の証でした。直射日光を浴びず、栄養を十分に摂れる環境が、そのまま美の条件として社会に浸透したのです。
薄暗い生活様式
ろうそくの灯りが頼りの薄暗い室内では、白粉を塗った顔に黒いお歯黒や引眉が際立ちました。表情を読み取らせないミステリアスな雰囲気が、奥ゆかしい美とされました。
男性の好み
『源氏物語』にも描かれるように、男性は女性の長く美しい黒髪に強い憧れを抱きました。か弱く、庇護欲をそそるようなおっとりとした顔立ちが、男性社会の中で理想とされたのです。
美を彩る化粧と装束
平安貴族の女性たちは、特徴的な化粧と豪華な衣装で自らを飾りました。ここでは、その代表的な化粧術と、美しさの象徴であった「十二単」の構造をインタラクティブに紹介します。
平安の化粧術
白粉 (おしろい)
顔から首筋まで白く塗り、高貴さを演出。鉛や水銀が主成分でした。
引眉 (ひきまゆ)
自眉を抜き、額の高い位置に墨で楕円形の眉を描くことで、表情を隠しました。
お歯黒 (おはぐろ)
歯を黒く染める成人の証。白い肌との対比で顔を引き締める効果もありました。
紅 (べに)
唇に紅をさし、実際の唇より小さく描く「おちょぼ口」が可憐とされました。
十二単の構造
正式名称は「女房装束」。総重量は約20kgにもなりました。各衣の名にカーソルを合わせると、右の図と説明が連動します。
各衣にカーソルを合わせてください。
歴史に名を刻んだ平安美人
美貌だけでなく、和歌や文学の才能で歴史に名を残した女性たち。ここでは代表的な3人を紹介します。カードをクリックすると、彼女たちの功績が表示されます。
小野小町
絶世の美女伝説
六歌仙の一人
世界三大美女にも数えられる伝説的な歌人。その美貌と情熱的な和歌で多くの貴族を魅了しました。
紫式部
『源氏物語』の作者
知性と文才
世界最古の長編小説『源氏物語』を執筆。宮廷に仕えた女房で、その深い洞察力と教養で不朽の名作を生み出しました。
清少納言
『枕草子』の作者
鋭い感性
随筆『枕草子』で宮廷生活を生き生きと描いた才女。その鋭い観察眼と機知に富んだ文章は、現代にも通じる魅力を持っています。